2025/09/06 Sat 夜の花、道祖神 とんとん、たんたん。遠くから聞こえる不思議な音色に、あの頃、幼いファイは胸を躍らせていた。 年代物の扇風機をすぐ側でカタカタといわせながら、網戸越しに眺めた遠くの櫓を、ファイは決して忘れない。垂れ幕の赤と白が、それぞれ何本だったのか。提灯はいくつぶら下がっていたか。 こっそりと抜けだして会いに来てくれた大好きな人の赤い頬や、夜なのに自慢げにかぶった麦わら帽子の優しい香りを、忘れない。 二人、手を繋いで眺めた宝物のような夜空を、絶対に。 「ほら見てー! これ懐かしいー!」 箪笥の開きに長い間ずっと仕舞われたそれを取り出して、ファイは目を輝かせた。 あの頃よりも少し、所々がささくれ立った麦わら帽子からは、ふわりと懐かしい香りがする。 「ああ」 赤と紫の朝顔が書かれた町内会のうちわでパタパタと首元を扇ぎ、のんびりと胡坐をかいている黒鋼が短く返事をする。 ファイは帽子を手にその横にちょこんと座りこんだ。 その弾みでゆるりと空気が動いて、縁側で炊いている蚊取り線香の香りが一瞬だけ強くなった気がした。 「ボロボロだぁ。気に入ってたのになー」 「昔見たときからボロだったぜ」 「そんなことないもーん」 これは他界した祖母がお古をくれたものだった。確かにあの当時から少し痛んではいたけれど、ファイにとっては宝物の一つだった。 「どう? 似合う?」 あの頃よりも頭にフィットするそれをかぶって、少し首を傾げて見せた。 黒鋼は思いっきり期待に満ちた目をするファイを見て、僅かに顔を顰める。そして、伸びて来た指によってファイはぎゅっと鼻を摘まれた。 「むぎゅっ!」 「似合わねぇよ」 「むー! おはにゃ潰れるー!」 必死になってがっしりとした手首を両手で掴んでバタバタする様が面白いのか、黒鋼は意地悪そうに笑ってそのまましばらくファイの鼻から指を離さなかった。 ようやく解放されたとき、少しヒリヒリする鼻を摩りながらファイは満足そうな顔をしている憎らしい男を睨みつける。 「いったいなー、もう…。昔はさー、顔真っ赤にして頷いてくれたのにねー。いつからこんな子になっちゃったのー」 「……気のせいだろ。それか夢だ。俺の記憶にはねぇな」 「気のせいじゃありませんー。夢でもありませんー」 「だから覚えてねぇっつってんだろ」 本当はしっかり覚えてるくせに、どうやら掘り返されると照れくさいらしい彼はとても嫌そうな顔をして、眉間の皺を濃いものにした。 頬を赤くしていた頃の彼も可愛かったけれど、案外分かりやすいこの男の性質も、申し分なく可愛い。 「ボケるには早いんじゃないの? おじいちゃん」 「誰がジジイだ、オラ」 「あう」 こつんと額を弾かれた拍子に、麦わら帽子はぽっかりと頭から離れて落ちてしまった。 「そろそろ出かけるぞ」 そっぽを向きながらうちわを投げ出した黒鋼に、ファイは「はぁい」と返事をした。 本当はあの頃のように無邪気にこれをかぶって行ければいいのだけれど。 ファイは古びた麦わら帽子をそっと箪笥の上に飾るだけで我慢した。 * 戻りたい過去はない。 戻ってやり直すには、あまりにも離れていた時間が長すぎたから。 それがどんなに幸せで、美しい思い出だったとしても。 * 昔と祭の規模は変わらない。 盆踊りのための櫓が集会所のある公園の真ん中にあって、幾つかの出店があって。ただ違うのは、当時と比べると子供の数が減ったことと、浴衣を着た華やかな女性や家族連れが少しだけ増えていることだった。 太鼓やお囃子に掻き消されない程度には夜の虫が声を上げる田んぼの畦道を、二人はやっぱり祭の会場を遠くに眺めながらのんびりと歩いていた。 見知った子供たちはみな祭の中心にいるから、顔を合わせることはなかった。 すれ違う人の中にはファイを目的に来ている観光客もいて、時々笑って手を振ったり振られたりするファイだったが、実は密かに隣を歩く黒鋼が少し面白くなさそうな雰囲気を醸し出していることには、ちゃっかり気が付いていた。 「可愛いね。浴衣の女の子って。ドキドキしちゃう」 だからそんなことを言ったのは、わざとだった。 どんな顔をするんだろうとか、何て反応するんだろうとか。手に取るように分かるくせに、そんなことを知らぬふりをして言ってのけるのは楽しかった。 自分は案外いい性格をしているとも思うけれど、別にそんな自分も嫌いではない。 それに、見透かしているのは相手も同じということを知っている。 ファイが仕掛ける単純で子供っぽい、駆け引きにもならない罠くらい、彼はお見通しのはずだった。 (それでも君はそんな顔をしてくれるんだ。知ってるよ。次に何を言ってくれるのかも) 「知るかよ。鼻の下伸ばしてっとすっ転ぶぞ」 「ふふふ。そうそう、そんな感じ。言うと思った」 「……てめぇこそ、どこでひん曲がっちまったんだろうな。その性格は」 「さぁ。どこでしょう」 小刻みに肩を揺らしながら笑うファイに、また若い浴衣の女性が手を振った。それに気がついて上げようとした手を、ふいに強く掴まれてファイはドキリとする。 夜目にはそこまではわからない。祭の提灯と出店の明かりは、少し離れたこの場所では薄ぼんやりとしていて、誰にも。 少しだけ苛立ったように早くなった相手の歩調に引っ張られながら、ファイはまた笑った。強く掴まれた手首が熱くて、それに負けないくらい胸の内側も熱かった。 その熱がそのままどんどん頭の方へも上って来て、今が夜でよかったとファイは思う。 少し悔しい。女の子が可愛くてドキドキするなんて、そんな軽い台詞を平気で言った自分を、こんな風に女の子にでもなったみたいにドキドキさせるのは、彼だけだった。 幾つになっても。妙なところで、どこか幼い、くすぐったいままの恋をし続けている。恥ずかしくて、悔しかった。多分、この気持ちに終わりが訪れることはない。 このまま行けば、ただの暗いだけの道まで行ってしまうのではないか。そんなことを考えていたとき、黒鋼が足を止めるのとヒュウと音がするのはほぼ同時だった。 二人は手と手で繋がったまま、夜の闇にぽっかりと咲く一瞬の花火を見上げた。 至るところから歓声が上がる。祭の最後を締めくくる、夜の花。 最初のうちは一定の間隔を開けて。やがて、盛り上がりと同時にそれは絶え間なく上がり続ける。 バラバラと音を立てながら、火の花は夜空を明るく染めていた。たった一瞬の光。けれど胸に焼きつく、永遠の光。 二人は何も言わずに、ただそれらを見守った。 道祖神の傍らで。 それは示し合わせたように。 足を止めたこの場所は、初めて二人で花火を見上げたあの場所で。 夏の夜と、火薬の匂い。つんと鼻先を掠めてゆくから、少しだけ大輪の花が滲んで見えた。 「綺麗。すごく、綺麗だね」 震えそうになる語尾を、その夜一番大きな音が掻き消した。 黒鋼は空から目を逸らさない。ファイの手を離さないまま、彼は何かを言った。聞こえない。今も、昔も。肝心な部分は必ず花火の音が掻き消した。 そしてあのときも今も、ファイは彼が何を言ったのかを問うことはしなかった。 途端に静寂が満ちる夜の世界は、たった今すべて散り終えた花火の残骸を薄くぼんやりと夜空に残し、やがて雲のように風と共に消えてゆく。 その頃には、二人は何も言わないままにただしっかりと指と指を絡めるようにして手を握り合って、元来た道を歩き出していた 戻る場所は一つで、戻ったら戻ったで、することは一つで。なんだかベタだなぁと思うと照れくさくて、ファイはそっと笑った。 でも仕方ない。田舎の片隅の、決して規模が大きいとは言えない花火に心も身体も煽られて、興奮している。早く誰もいない場所でもっと彼に触れたいし、声が聞きたいし、抱きしめたくてたまらなかった。 「来年も……」 ただ無言で熱を持てあますのが気恥ずかしくて、ファイは小さな声で呟きかけた。 「ん」 同じくらい小さく返す黒鋼に、ファイは首を振る。 「ううん。なんでもない」 言いかけた言葉の続きは、わざわざ声に出して言うほどのものではなかった。 ――来年もまた来ようね。 約束はいらない。 また来年も同じ場所で手を繋ぎながら、同じ空を見上げるのだ。 そしてまた黒鋼は聞こえないタイミングで、そっと何かを呟くのだと思う。 彼が何を言っているのか、どんな顔をするのか。いつだって手に取るようにわかるのに、ファイにはそのときの彼が何を言っているのかだけは、どうしてもわからない。 けれどそれでいいと思っている。 いつか彼の気が向いたときにでも、聞かせてくれる日が来るかもしれない。 約束はいらない。戻りたい過去もない。 時が経てば経つほど麦わら帽子は痛んでいくし、とっくに壊れて、庭先の物置で眠っている扇風機にはホコリが積り続ける。 提灯の数も、紅白のしまの数も、もう遠目からは数えられない。 けれど繰り返すくらいなら、もっとずっと先まで二人で生きて行ける方が、ずっといい。 少し蒸し暑い夜の畦道。 まっすぐに続いていくその道を、二人は逸る気持ちとは裏腹に、殊更ゆっくり、歩いて帰った。 ←戻る ・ Wavebox👏
とんとん、たんたん。遠くから聞こえる不思議な音色に、あの頃、幼いファイは胸を躍らせていた。
年代物の扇風機をすぐ側でカタカタといわせながら、網戸越しに眺めた遠くの櫓を、ファイは決して忘れない。垂れ幕の赤と白が、それぞれ何本だったのか。提灯はいくつぶら下がっていたか。
こっそりと抜けだして会いに来てくれた大好きな人の赤い頬や、夜なのに自慢げにかぶった麦わら帽子の優しい香りを、忘れない。
二人、手を繋いで眺めた宝物のような夜空を、絶対に。
「ほら見てー! これ懐かしいー!」
箪笥の開きに長い間ずっと仕舞われたそれを取り出して、ファイは目を輝かせた。
あの頃よりも少し、所々がささくれ立った麦わら帽子からは、ふわりと懐かしい香りがする。
「ああ」
赤と紫の朝顔が書かれた町内会のうちわでパタパタと首元を扇ぎ、のんびりと胡坐をかいている黒鋼が短く返事をする。
ファイは帽子を手にその横にちょこんと座りこんだ。
その弾みでゆるりと空気が動いて、縁側で炊いている蚊取り線香の香りが一瞬だけ強くなった気がした。
「ボロボロだぁ。気に入ってたのになー」
「昔見たときからボロだったぜ」
「そんなことないもーん」
これは他界した祖母がお古をくれたものだった。確かにあの当時から少し痛んではいたけれど、ファイにとっては宝物の一つだった。
「どう? 似合う?」
あの頃よりも頭にフィットするそれをかぶって、少し首を傾げて見せた。
黒鋼は思いっきり期待に満ちた目をするファイを見て、僅かに顔を顰める。そして、伸びて来た指によってファイはぎゅっと鼻を摘まれた。
「むぎゅっ!」
「似合わねぇよ」
「むー! おはにゃ潰れるー!」
必死になってがっしりとした手首を両手で掴んでバタバタする様が面白いのか、黒鋼は意地悪そうに笑ってそのまましばらくファイの鼻から指を離さなかった。
ようやく解放されたとき、少しヒリヒリする鼻を摩りながらファイは満足そうな顔をしている憎らしい男を睨みつける。
「いったいなー、もう…。昔はさー、顔真っ赤にして頷いてくれたのにねー。いつからこんな子になっちゃったのー」
「……気のせいだろ。それか夢だ。俺の記憶にはねぇな」
「気のせいじゃありませんー。夢でもありませんー」
「だから覚えてねぇっつってんだろ」
本当はしっかり覚えてるくせに、どうやら掘り返されると照れくさいらしい彼はとても嫌そうな顔をして、眉間の皺を濃いものにした。
頬を赤くしていた頃の彼も可愛かったけれど、案外分かりやすいこの男の性質も、申し分なく可愛い。
「ボケるには早いんじゃないの? おじいちゃん」
「誰がジジイだ、オラ」
「あう」
こつんと額を弾かれた拍子に、麦わら帽子はぽっかりと頭から離れて落ちてしまった。
「そろそろ出かけるぞ」
そっぽを向きながらうちわを投げ出した黒鋼に、ファイは「はぁい」と返事をした。
本当はあの頃のように無邪気にこれをかぶって行ければいいのだけれど。
ファイは古びた麦わら帽子をそっと箪笥の上に飾るだけで我慢した。
*
戻りたい過去はない。
戻ってやり直すには、あまりにも離れていた時間が長すぎたから。
それがどんなに幸せで、美しい思い出だったとしても。
*
昔と祭の規模は変わらない。
盆踊りのための櫓が集会所のある公園の真ん中にあって、幾つかの出店があって。ただ違うのは、当時と比べると子供の数が減ったことと、浴衣を着た華やかな女性や家族連れが少しだけ増えていることだった。
太鼓やお囃子に掻き消されない程度には夜の虫が声を上げる田んぼの畦道を、二人はやっぱり祭の会場を遠くに眺めながらのんびりと歩いていた。
見知った子供たちはみな祭の中心にいるから、顔を合わせることはなかった。
すれ違う人の中にはファイを目的に来ている観光客もいて、時々笑って手を振ったり振られたりするファイだったが、実は密かに隣を歩く黒鋼が少し面白くなさそうな雰囲気を醸し出していることには、ちゃっかり気が付いていた。
「可愛いね。浴衣の女の子って。ドキドキしちゃう」
だからそんなことを言ったのは、わざとだった。
どんな顔をするんだろうとか、何て反応するんだろうとか。手に取るように分かるくせに、そんなことを知らぬふりをして言ってのけるのは楽しかった。
自分は案外いい性格をしているとも思うけれど、別にそんな自分も嫌いではない。
それに、見透かしているのは相手も同じということを知っている。
ファイが仕掛ける単純で子供っぽい、駆け引きにもならない罠くらい、彼はお見通しのはずだった。
(それでも君はそんな顔をしてくれるんだ。知ってるよ。次に何を言ってくれるのかも)
「知るかよ。鼻の下伸ばしてっとすっ転ぶぞ」
「ふふふ。そうそう、そんな感じ。言うと思った」
「……てめぇこそ、どこでひん曲がっちまったんだろうな。その性格は」
「さぁ。どこでしょう」
小刻みに肩を揺らしながら笑うファイに、また若い浴衣の女性が手を振った。それに気がついて上げようとした手を、ふいに強く掴まれてファイはドキリとする。
夜目にはそこまではわからない。祭の提灯と出店の明かりは、少し離れたこの場所では薄ぼんやりとしていて、誰にも。
少しだけ苛立ったように早くなった相手の歩調に引っ張られながら、ファイはまた笑った。強く掴まれた手首が熱くて、それに負けないくらい胸の内側も熱かった。
その熱がそのままどんどん頭の方へも上って来て、今が夜でよかったとファイは思う。
少し悔しい。女の子が可愛くてドキドキするなんて、そんな軽い台詞を平気で言った自分を、こんな風に女の子にでもなったみたいにドキドキさせるのは、彼だけだった。
幾つになっても。妙なところで、どこか幼い、くすぐったいままの恋をし続けている。恥ずかしくて、悔しかった。多分、この気持ちに終わりが訪れることはない。
このまま行けば、ただの暗いだけの道まで行ってしまうのではないか。そんなことを考えていたとき、黒鋼が足を止めるのとヒュウと音がするのはほぼ同時だった。
二人は手と手で繋がったまま、夜の闇にぽっかりと咲く一瞬の花火を見上げた。
至るところから歓声が上がる。祭の最後を締めくくる、夜の花。
最初のうちは一定の間隔を開けて。やがて、盛り上がりと同時にそれは絶え間なく上がり続ける。
バラバラと音を立てながら、火の花は夜空を明るく染めていた。たった一瞬の光。けれど胸に焼きつく、永遠の光。
二人は何も言わずに、ただそれらを見守った。
道祖神の傍らで。
それは示し合わせたように。
足を止めたこの場所は、初めて二人で花火を見上げたあの場所で。
夏の夜と、火薬の匂い。つんと鼻先を掠めてゆくから、少しだけ大輪の花が滲んで見えた。
「綺麗。すごく、綺麗だね」
震えそうになる語尾を、その夜一番大きな音が掻き消した。
黒鋼は空から目を逸らさない。ファイの手を離さないまま、彼は何かを言った。聞こえない。今も、昔も。肝心な部分は必ず花火の音が掻き消した。
そしてあのときも今も、ファイは彼が何を言ったのかを問うことはしなかった。
途端に静寂が満ちる夜の世界は、たった今すべて散り終えた花火の残骸を薄くぼんやりと夜空に残し、やがて雲のように風と共に消えてゆく。
その頃には、二人は何も言わないままにただしっかりと指と指を絡めるようにして手を握り合って、元来た道を歩き出していた
戻る場所は一つで、戻ったら戻ったで、することは一つで。なんだかベタだなぁと思うと照れくさくて、ファイはそっと笑った。
でも仕方ない。田舎の片隅の、決して規模が大きいとは言えない花火に心も身体も煽られて、興奮している。早く誰もいない場所でもっと彼に触れたいし、声が聞きたいし、抱きしめたくてたまらなかった。
「来年も……」
ただ無言で熱を持てあますのが気恥ずかしくて、ファイは小さな声で呟きかけた。
「ん」
同じくらい小さく返す黒鋼に、ファイは首を振る。
「ううん。なんでもない」
言いかけた言葉の続きは、わざわざ声に出して言うほどのものではなかった。
――来年もまた来ようね。
約束はいらない。
また来年も同じ場所で手を繋ぎながら、同じ空を見上げるのだ。
そしてまた黒鋼は聞こえないタイミングで、そっと何かを呟くのだと思う。
彼が何を言っているのか、どんな顔をするのか。いつだって手に取るようにわかるのに、ファイにはそのときの彼が何を言っているのかだけは、どうしてもわからない。
けれどそれでいいと思っている。
いつか彼の気が向いたときにでも、聞かせてくれる日が来るかもしれない。
約束はいらない。戻りたい過去もない。
時が経てば経つほど麦わら帽子は痛んでいくし、とっくに壊れて、庭先の物置で眠っている扇風機にはホコリが積り続ける。
提灯の数も、紅白のしまの数も、もう遠目からは数えられない。
けれど繰り返すくらいなら、もっとずっと先まで二人で生きて行ける方が、ずっといい。
少し蒸し暑い夜の畦道。
まっすぐに続いていくその道を、二人は逸る気持ちとは裏腹に、殊更ゆっくり、歩いて帰った。
←戻る ・ Wavebox👏