2025/09/18 Thu (参ったなー) ファイは目の前で真剣に思い悩んでいる男子生徒を見て、内心困り果てていた。 「ファイ先生……先生は、年上の人と付き合ったことって……ありますか?」 「え? えーと……うん。そうだねぇ……ある、かなー」 「じゃあ! じゃあ……逆に年下の人とは?」 「あー、うん。あるよ」 と、いうより現在ファイの恋人はファイより僅かに年下である。 なので、この後者の質問に対しては嘘ではない。ならば前者はどうなのか、というと実は極めて微妙なところだった。 (オレ自身の好みで付き合ってきた人って……いるようでいないんだよなぁ~) 最近になって女子生徒だけでなく、男子生徒からもよく構われるようになったのは嬉しいことだった。 だが、こういった色恋に関する相談の場合、嫌でも自覚せざるを得ない状況に立たされることも多々あるのだ。 自分の意思で恋愛をしてきたわけではなかったのだということ。 それはつまり、ファイ自身は彼らとそう変わらぬラインに立っているのだということを。 男女問わずこれまで付き合ってきた相手は、あくまで『ファイ』に惹かれた者達で、ファイはそれに応える形で演じていたに過ぎない。 今にして思えばなんて器用な真似をしながら生きてきたのだろうかと、自分で自分に感心するほどだった。 (凄いなぁオレ。器用だったなぁオレ) 黒鋼に「ゲームをしよう」だなんて持ちかけておいて、よくよく思えばファイのこれまでの人生だってそう変わらなかったのかもしれない。 ただ一つ違うのは、黒鋼にもちかけた『ゲーム』は、そのときすでに本気になりかけていた自分への、逃げ道のようなものだったのだけれど。 「だから、僕どうすればいいのか……あれ、先生? ファイ先生? 聞いてました?」 ファイがぼんやりと考え込んでいた間も、必死で赤裸々な胸中を語っていた生徒に不安そうに顔を覗きこまれて、ファイは慌てて姿勢を正した。 「あ、うん。えっとね……たぶんその女の人はねー」 身を乗り出してくる生徒に、ファイは養ってきた紛い物の知識で精一杯アドバイスをした。 * 「先生ありがとうございました! 僕、頑張ります!!」 男子生徒が勢いよく頭を下げるのと、保健室のドアが少々乱暴に開かれるのとは同時だった。 見ればそこにいたのは怪訝そうな表情の黒鋼で、ファイは生徒に手を振りながら黒鋼に向かってニッコリと微笑んでいた。 「なんだありゃあ」 生徒が出て行くと、彼が消えていった扉をチラリと見ながら黒鋼が言った。 ファイは、黒鋼が最近はこうしてよく学校の中でも顔を見せてくれるようになったことが、嬉しくて仕方がなかった。以前はあからさまに避けられていたからだ。 「黒るー先生だー。どうかしたの? また猫に引っかかれた?」 「うるせぇよ。用がなきゃ来ちゃ悪いか」 「!」 ただのゲームだった頃は、間違ってもこんな風に開き直ったりなんかしなかった。 なんだか気恥ずかしくて頬が熱い。誰かの言葉を借りずに、自分の言葉で話すというのはこんなにも難しいことだったのか。 顔を赤らめながらまごついてしまったファイに、黒鋼はどこか不機嫌そうに皮製の長椅子に腰を下ろした。 *** 変な感じだな、とファイは思った。 これまで誰一人として自分の部屋に招き入れたことはない。 特別これといって意味があったわけではないけれど、今にして思えば自分を偽り続ける上で普通の人間以上に、一人きりで過ごせる時間は貴重だったのかもしれない。 それが必要なくなった今では、週末になると黒鋼と揃って帰宅することが少なくなかった。 「おい、こいつは洗って皮剥きゃいいんだろ?」 帰りにスーパーに寄って買い込んだ食材の中から、ジャガイモの袋を取り出した黒鋼がキッチンの開き戸を開けながら言った。今夜のメニューはカレーライスである。 ファイは手を洗いつつ「うん」と返事をする。 「ジャガイモの皮むきって面倒なんだよねー。黒たんお願ーい」 「おう」 短く返事をしながらジャージの袖をまくる男っぽい仕草に、密かに頬を染める。なんだか最近の自分は、まるで年端もいかぬ乙女のようで恥ずかしい。 「前より黒たん先生が手伝ってくれるから楽チンだなぁ」 その照れ臭さを誤魔化すように言ったファイに、黒鋼は「うるせぇぞ」と、それでも穏やかな横顔で言った。 頬の熱を冷ますべく洗面所で顔を洗ったファイが寝室へ行くと、黒鋼は先にベッドに入り込んでいた。 ベッドサイドの頼りない照明に向かって足音を立てないように近づき、ファイもベッドの中に潜り込む。 先刻はいきなりキスをされて慌てたが、黒鋼が「もう寝る」と言ったあと何もしてこないことはよく分かっていた。 手を伸ばして照明を消すと、室内はぼんやりとした闇に包まれる。 こんな闇の中で、子供の頃は眠くなるまでの間ずっとファイとお喋りをしていたなぁと、思い出して少し笑った。 黒鋼とこんな風になる前は、一人でいたとしても決して過去を思い出すことはなかった。むしろ、思い出さないようにしていた。 けれど今は違う。隣で眠る人も違う。過去に思いを馳せることが出来るようになったのは、それが『過去』であると自分自身がしっかりと受け止め、前へ進んでいけるようになったからなのかもしれない。それは本来、とても自然なことだった。 だからといって、自分の中にいるもう一人の自分は、決して消えない。 『ファイ』はいなくならない。一緒に過ごした大切な記憶がある限り、絶対に。 (こんな風に、オレはオレに戻っていけるんだね……ファイ) 「もっと寄れ」 そのとき、ぼんやりと天井を見ていたファイを二本の腕が抱き込むようにして伸びてきた。 そのまま攫われるようにして横向きになり、ファイは黒鋼の胸の中に顔を埋めた。 もし太陽に香りがあるのなら、きっと彼と同じ匂いがする。吸い込んでそれを感じると、泣きたくなるくらい幸せだった。泣きたくなるから、怖かった。 「ねぇ黒たん……」 「……ん」 何か言いたいことがあって呼んだわけではない。けれど、何か言いたい気もする。 例えば、そう、こんな風にただ寄り添って眠るだけでファイは十分幸せだけれど、黒鋼はそうじゃないかもしれない。 好きな相手と身体で繋がることは、当たり前に等しいことなのだと思う。 けれど、今のファイにはとても難しいことのように思えた。 黒鋼とするのが嫌なわけでもない。それはただ単純な理由からだった。 「あのね……オレ、今更だけど……なんか恥ずかしくて」 こんな風に互いの顔が見えない中で寄り添って眠るのは大好きだ。黒鋼の体温や、鼓動や、匂いや、息遣いや、抱きしめてくれる腕の優しさを感じながら眠るのが、とても。 以前はこんなものに幸せを感じることはなかった。平気で身体を合わせることができた。曝け出すことができた。淫らな台詞も嘘の告白も、全て。 黒鋼の前でだけは、自然に振舞っていたつもりだった。彼は偽者のファイに気づいていたから、だから猫をかぶっても意味がなかった。 それなのに、いざ気持ちが通じたとたん上手くいかない。すぐ顔が熱くなるし、どうすればいいのか分からなくなって余裕がない。当たり前に出来ていたことが、難しい。 黒鋼は、ファイが何を言いたいのかを察しているようだった。 「もう寝ろ」 大きな手が、そっと頭を撫でてくれた。ファイは黒鋼の脇から腕を差し入れて、その肩をぎゅっと抱いた。こんなに甘えきっていて、いいのだろうか。 この人を愛している。そして、愛されている。どうすれば返せるのだろう。伝えられるのだろう。 「黒たん」 「なんだよ」 「黒たんはさ、前みたいに……オレとエッチなことしたいって、思ってくれてるんだよね?」 本当はちゃんと分かっている。先刻だって、彼はファイを求めてくれた。けれど聞きたかった。彼はなんと答えるだろうか。 今の自分にしては、かなり直接な表現をした。黒鋼は照れ屋だから、今にも怒り出すかもしれない。 ドキドキしながら答えを待っていると、頭上で細く長い溜息が零れるのが分かった。 「黒たん……?」 「してぇよ」 「!ッ」 「なんだよ? 悪ぃか」 せっかく水で冷ました頬が、燃えるように熱くなるのを感じて、ファイは黒鋼の胸にグリグリと額を押し付けた。 「ま、前はそんなこと絶対に言わなかったくせにっ」 「前とは違ぇだろ、前とは」 「そ、そうだけどー……」 前とは違うから、勝手が違うから、どうすればいいのか分からないのだ。 けれど、ファイは黒鋼のその返事が嬉しくて仕方がなかった。求められることには慣れている。けれど、黒鋼が求めているのは『ファイ』ではないことを知っていた。 (だからオレはこの人を選んだんだ) 「次のお休みの日は……」 「あ?」 「あのね、次の週末はね、オレ……がんばってみる」 黒鋼の身体が小刻みに震えだした。笑っているのだ。彼がこんな風に笑うのは珍しい。互いの顔が見えないからこそかもしれないけれど。 パチン、と頭を叩かれた。 「無理して頑張るこたぁねぇよ」 「頑張るったら頑張るんだから。もう決めたんだから」 「ああそうかよ。まぁ期待はしてねぇけど期待してるぜ」 「むっかー……」 僅かに足をバタつかせたファイの頭をもう一度叩いて、「いいからもう寝ろ」と黒鋼が言った。 ←戻る ・ 次へ→
ファイは目の前で真剣に思い悩んでいる男子生徒を見て、内心困り果てていた。
「ファイ先生……先生は、年上の人と付き合ったことって……ありますか?」
「え? えーと……うん。そうだねぇ……ある、かなー」
「じゃあ! じゃあ……逆に年下の人とは?」
「あー、うん。あるよ」
と、いうより現在ファイの恋人はファイより僅かに年下である。
なので、この後者の質問に対しては嘘ではない。ならば前者はどうなのか、というと実は極めて微妙なところだった。
(オレ自身の好みで付き合ってきた人って……いるようでいないんだよなぁ~)
最近になって女子生徒だけでなく、男子生徒からもよく構われるようになったのは嬉しいことだった。
だが、こういった色恋に関する相談の場合、嫌でも自覚せざるを得ない状況に立たされることも多々あるのだ。
自分の意思で恋愛をしてきたわけではなかったのだということ。
それはつまり、ファイ自身は彼らとそう変わらぬラインに立っているのだということを。
男女問わずこれまで付き合ってきた相手は、あくまで『ファイ』に惹かれた者達で、ファイはそれに応える形で演じていたに過ぎない。
今にして思えばなんて器用な真似をしながら生きてきたのだろうかと、自分で自分に感心するほどだった。
(凄いなぁオレ。器用だったなぁオレ)
黒鋼に「ゲームをしよう」だなんて持ちかけておいて、よくよく思えばファイのこれまでの人生だってそう変わらなかったのかもしれない。
ただ一つ違うのは、黒鋼にもちかけた『ゲーム』は、そのときすでに本気になりかけていた自分への、逃げ道のようなものだったのだけれど。
「だから、僕どうすればいいのか……あれ、先生? ファイ先生? 聞いてました?」
ファイがぼんやりと考え込んでいた間も、必死で赤裸々な胸中を語っていた生徒に不安そうに顔を覗きこまれて、ファイは慌てて姿勢を正した。
「あ、うん。えっとね……たぶんその女の人はねー」
身を乗り出してくる生徒に、ファイは養ってきた紛い物の知識で精一杯アドバイスをした。
*
「先生ありがとうございました! 僕、頑張ります!!」
男子生徒が勢いよく頭を下げるのと、保健室のドアが少々乱暴に開かれるのとは同時だった。
見ればそこにいたのは怪訝そうな表情の黒鋼で、ファイは生徒に手を振りながら黒鋼に向かってニッコリと微笑んでいた。
「なんだありゃあ」
生徒が出て行くと、彼が消えていった扉をチラリと見ながら黒鋼が言った。
ファイは、黒鋼が最近はこうしてよく学校の中でも顔を見せてくれるようになったことが、嬉しくて仕方がなかった。以前はあからさまに避けられていたからだ。
「黒るー先生だー。どうかしたの? また猫に引っかかれた?」
「うるせぇよ。用がなきゃ来ちゃ悪いか」
「!」
ただのゲームだった頃は、間違ってもこんな風に開き直ったりなんかしなかった。
なんだか気恥ずかしくて頬が熱い。誰かの言葉を借りずに、自分の言葉で話すというのはこんなにも難しいことだったのか。
顔を赤らめながらまごついてしまったファイに、黒鋼はどこか不機嫌そうに皮製の長椅子に腰を下ろした。
***
変な感じだな、とファイは思った。
これまで誰一人として自分の部屋に招き入れたことはない。
特別これといって意味があったわけではないけれど、今にして思えば自分を偽り続ける上で普通の人間以上に、一人きりで過ごせる時間は貴重だったのかもしれない。
それが必要なくなった今では、週末になると黒鋼と揃って帰宅することが少なくなかった。
「おい、こいつは洗って皮剥きゃいいんだろ?」
帰りにスーパーに寄って買い込んだ食材の中から、ジャガイモの袋を取り出した黒鋼がキッチンの開き戸を開けながら言った。今夜のメニューはカレーライスである。
ファイは手を洗いつつ「うん」と返事をする。
「ジャガイモの皮むきって面倒なんだよねー。黒たんお願ーい」
「おう」
短く返事をしながらジャージの袖をまくる男っぽい仕草に、密かに頬を染める。なんだか最近の自分は、まるで年端もいかぬ乙女のようで恥ずかしい。
「前より黒たん先生が手伝ってくれるから楽チンだなぁ」
その照れ臭さを誤魔化すように言ったファイに、黒鋼は「うるせぇぞ」と、それでも穏やかな横顔で言った。
頬の熱を冷ますべく洗面所で顔を洗ったファイが寝室へ行くと、黒鋼は先にベッドに入り込んでいた。
ベッドサイドの頼りない照明に向かって足音を立てないように近づき、ファイもベッドの中に潜り込む。
先刻はいきなりキスをされて慌てたが、黒鋼が「もう寝る」と言ったあと何もしてこないことはよく分かっていた。
手を伸ばして照明を消すと、室内はぼんやりとした闇に包まれる。
こんな闇の中で、子供の頃は眠くなるまでの間ずっとファイとお喋りをしていたなぁと、思い出して少し笑った。
黒鋼とこんな風になる前は、一人でいたとしても決して過去を思い出すことはなかった。むしろ、思い出さないようにしていた。
けれど今は違う。隣で眠る人も違う。過去に思いを馳せることが出来るようになったのは、それが『過去』であると自分自身がしっかりと受け止め、前へ進んでいけるようになったからなのかもしれない。それは本来、とても自然なことだった。
だからといって、自分の中にいるもう一人の自分は、決して消えない。
『ファイ』はいなくならない。一緒に過ごした大切な記憶がある限り、絶対に。
(こんな風に、オレはオレに戻っていけるんだね……ファイ)
「もっと寄れ」
そのとき、ぼんやりと天井を見ていたファイを二本の腕が抱き込むようにして伸びてきた。
そのまま攫われるようにして横向きになり、ファイは黒鋼の胸の中に顔を埋めた。
もし太陽に香りがあるのなら、きっと彼と同じ匂いがする。吸い込んでそれを感じると、泣きたくなるくらい幸せだった。泣きたくなるから、怖かった。
「ねぇ黒たん……」
「……ん」
何か言いたいことがあって呼んだわけではない。けれど、何か言いたい気もする。
例えば、そう、こんな風にただ寄り添って眠るだけでファイは十分幸せだけれど、黒鋼はそうじゃないかもしれない。
好きな相手と身体で繋がることは、当たり前に等しいことなのだと思う。
けれど、今のファイにはとても難しいことのように思えた。
黒鋼とするのが嫌なわけでもない。それはただ単純な理由からだった。
「あのね……オレ、今更だけど……なんか恥ずかしくて」
こんな風に互いの顔が見えない中で寄り添って眠るのは大好きだ。黒鋼の体温や、鼓動や、匂いや、息遣いや、抱きしめてくれる腕の優しさを感じながら眠るのが、とても。
以前はこんなものに幸せを感じることはなかった。平気で身体を合わせることができた。曝け出すことができた。淫らな台詞も嘘の告白も、全て。
黒鋼の前でだけは、自然に振舞っていたつもりだった。彼は偽者のファイに気づいていたから、だから猫をかぶっても意味がなかった。
それなのに、いざ気持ちが通じたとたん上手くいかない。すぐ顔が熱くなるし、どうすればいいのか分からなくなって余裕がない。当たり前に出来ていたことが、難しい。
黒鋼は、ファイが何を言いたいのかを察しているようだった。
「もう寝ろ」
大きな手が、そっと頭を撫でてくれた。ファイは黒鋼の脇から腕を差し入れて、その肩をぎゅっと抱いた。こんなに甘えきっていて、いいのだろうか。
この人を愛している。そして、愛されている。どうすれば返せるのだろう。伝えられるのだろう。
「黒たん」
「なんだよ」
「黒たんはさ、前みたいに……オレとエッチなことしたいって、思ってくれてるんだよね?」
本当はちゃんと分かっている。先刻だって、彼はファイを求めてくれた。けれど聞きたかった。彼はなんと答えるだろうか。
今の自分にしては、かなり直接な表現をした。黒鋼は照れ屋だから、今にも怒り出すかもしれない。
ドキドキしながら答えを待っていると、頭上で細く長い溜息が零れるのが分かった。
「黒たん……?」
「してぇよ」
「!ッ」
「なんだよ? 悪ぃか」
せっかく水で冷ました頬が、燃えるように熱くなるのを感じて、ファイは黒鋼の胸にグリグリと額を押し付けた。
「ま、前はそんなこと絶対に言わなかったくせにっ」
「前とは違ぇだろ、前とは」
「そ、そうだけどー……」
前とは違うから、勝手が違うから、どうすればいいのか分からないのだ。
けれど、ファイは黒鋼のその返事が嬉しくて仕方がなかった。求められることには慣れている。けれど、黒鋼が求めているのは『ファイ』ではないことを知っていた。
(だからオレはこの人を選んだんだ)
「次のお休みの日は……」
「あ?」
「あのね、次の週末はね、オレ……がんばってみる」
黒鋼の身体が小刻みに震えだした。笑っているのだ。彼がこんな風に笑うのは珍しい。互いの顔が見えないからこそかもしれないけれど。
パチン、と頭を叩かれた。
「無理して頑張るこたぁねぇよ」
「頑張るったら頑張るんだから。もう決めたんだから」
「ああそうかよ。まぁ期待はしてねぇけど期待してるぜ」
「むっかー……」
僅かに足をバタつかせたファイの頭をもう一度叩いて、「いいからもう寝ろ」と黒鋼が言った。
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