2025/06/16 Mon 【にゃんたまωチャレンジ(R18)】 (鈴カステラみたいだなぁ……) くてん、と横倒しで寝転がるコーヒーのお尻を見て、操は鈴のようにコロコロとした焼き菓子を思い浮かべていた。ふっくらしていて齧ると弾力があり、ほろりと口の中で優しくほどける、まぁるいカステラ。 それと瓜二つのものが、コーヒーの股にぷくっと生息している。まんまるのフォルムとふわふわの被毛に覆われた球体、猫のふぐり──通称『にゃんたま』だ。 (コーヒーのにゃんたま、触ってぷにぷにしたいなぁ……) 食べちゃいたいくらい可愛いとは、まさにこのことだ。思わずうっとりとした息が漏れるほど、オス猫のふぐりは猫好きの心を魅了する。 しかし調子に乗って触りすぎると、角のようなナニかがニョキッと「こんにちは」する場合がある──あるいはめちゃくちゃ怒られる──ため、取り扱いには注意が必要だ。あくまでも性器であるということを忘れてはいけない。 (でも、ちょっとツンツンするくらいなら許されるよね) にゃんたまの誘惑に抗えなくなった操は、コーヒーに向かって四つん這いでにじり寄った。いつものように窓枠を引っ掻いて遊びに来た彼は、おやつを食べたあと満足して寝そべっている。 操は土下座するように体勢を低くして、至近距離から彼のふぐりをじっくり眺めた。身体は長毛に覆われているが、まん丸のそれは短い毛に包まれている。まるでヒヨコの産毛のようだ。 (わあぁ、可愛い! こんなの我慢できないよ……!) たまらない気持ちになりながら、右手の人差し指をそっとふぐりに近づけた。しかし今にも触れようとしたところで、コーヒーが顔をあげて背後を振り向く。危険を察知したのだろうか。操はその警戒を解くようにニッコリ笑いかけると、軽くふぐりをつっついた。丸々とした球体が、はずみでぷりんっと揺れ動く。 「ッ!?」 「ふわあぁ思った通りぷりぷりだぁー! 可愛いー!!」 「フ、フギャーッ!!」 さらにつっつこうとした矢先、悲鳴をあげたコーヒーが飛び上がって逃げだした。彼が走ると、にゃんたまも一緒にぽよぽよ跳ねる。逃がすものかと、操はすかさず四つん這いのまま追いかけた。 「待ってコーヒー! お願いだから、にゃんたまもっとぷりぷりさせて!」 「いにゃぁーっ!」 まるで「いや!」と叫んでいるかのようだ。しかしすぐに部屋の隅に追いつめられたコーヒーは、しっぽを内側に丸めながらプルプルと身を震わせた。耳もペタリと寝てしまっている。もし彼が人間だったなら、今ごろ青ざめて引きつった表情をしているに違いない。 「はぁ、はぁ……いい子だねコーヒー……ほら、にゃんたまもいい子いい子してあげるから……」 操は取り憑かれたように息を荒げ、よだれを垂らしそうなほど恍惚とした表情で両手をわきわきと蠢かせる。どこからどう見ても不審者にしか見えない。これがにゃんたまに狂わされた人間の末路だ。 見開かれたビー玉のような瞳が、恐怖と絶望に見開かれている。 「にゃッ、にゃヒィィィ……ッ!!」 学生寮の一室に、コーヒーの悲痛な叫びが響き渡った── ……。 …………。 「ふふっ、うふふ……ぷりぷりだぁ……あったかぁい……」 温かな感触に頬ずりをして、右手でそこにあるものを揉みしだく。強く握りすぎないように、優しくゆっくり慎重に。するとにゃんたまは操の手のなかで熱を持ち、どんどん育って手に余るほど大きくなった。 「コーヒーのにゃんたまは立派だね……なんか、人間のおちんちんみた……い……? んぁ……?」 違和感を覚え、閉じていた目をぱっちり見開く。幾度かまばたきをしたあと、操は自分が夢を見ていたことに気がついた。 「あれぇ? なぁんだ、夢かぁ」 ここは学生寮ではなく、実家の自室にあるベッドの上だ。カーテン越しにうっすらと朝の光が差し込み、遠くから鳥のさえずりが聞こえてくる。 あと少しでふわふわのにゃんたまを堪能できたはずなのに──と残念な気持ちになったが、操は夢の続きを知っている。なにせあれは、過去に実際あった出来事なのだ。あのあと激しく抵抗されて、結局は逃げられてしまったのだった。 「懐かしいなぁ。あの頃は甲洋のこと、普通の猫だと思ってたっけ」 まだほんの数ヶ月前の出来事だが、ずいぶん昔のことのように感じる。現在の甲洋は猫の姿に戻れなくなってしまったため、二度と可愛いにゃんたまを拝むことはできない。最後に思いっきりツンツンしてみたかった、という叶わぬ願いが、夢となって現れたのだろうか。 はぁ、とため息をつきながら、操は右手で触れているものをモミモミする。 「今じゃこんなだもんな。これもこれで好きだけど……ん?」 そういえばさっきから自分が触っているこれは、一体なんだろう。やたらと熱くて、肉感的で、不思議とよく手に馴染む。疑問に思いながらもさらにモミモミすると、頭上から「うーん……」という苦しげなうめき声が聞こえてきた。 「……え?」 そこでようやく、自分が今どんな体勢でいるかに気がついた。横向きで身体を丸めているが、問題はそのポジションだ。操は仰向けで寝ている甲洋の股間に頬を擦りつけ、右手で思いっきりブツに触れていた。 そりゃあよく手に馴染むはずだ。操はこれにしょっちゅう触れているし、大きさは違えど、自分だって同じものを持っているのだから。 「わっ、ごめん甲洋!」 うーんうーんと苦しそうに唸っている甲洋の上から、操は慌てて半身を起こした。にゃんたまを求めるあまり、寝ながらにして寝込みを襲う状態になっていたらしい。スウェットの上からではあるものの、頬ずりしたりモミモミしたり、ずいぶん刺激してしまったようだ。 しかし彼はよほど深く眠っているのか、目を覚ます気配がない。だが中心はテントが張ったようになっており、心なしかその表情は苦しげだ。 (わぁ、すっかり元気になっちゃってる。これってぼくのせいだよね……?) 操は右手の人差し指で、ツンっと盛り上がるテントをつついてみた。すると甲洋がピクンと震え、「んっ」とかすかに声をあげる。さすがに起きるかと思ったが、彼は深く息を漏らしただけで眠ったままだ。 しかし何か夢でも見ているのか、長いしっぽがパタンパタンとシーツを叩いている。そしてむにゃむにゃと口を動かしはじめた。 「ダメだ、来主……そこは触っちゃ、ダメなんだ……」 「え?」 「にゃんたまは……オモチャじゃ、ない……」 「!」 そこでピンと来てしまった。もしや彼も、同じ夢を見ているのではないかと。 夢の中の甲洋は、迫りくる魔の手から必死で逃げ惑っているのだろう。自分で言うのも何だが、あのときの操はにゃんたまに狂った変質者も同然だった。 彼はしきりに「やめて」とか「頼むから」などと口走り、うんうん唸っている。額に汗も滲んでいるし、これではさすがに気の毒だ。 「ごめんね甲洋。ぼくのせいで……それにこっちも……」 股間の膨らみも相変わらずで、元気に布を押し上げている。こっちもこっちでかなり苦しそうだ。軽く触れてさすってやると、「うぅ」というくぐもった声が聞こえてくる。 「大変だ。ちゃんと責任とらないと。待ってて甲洋、いま楽にしてあげるから!」 確か母は朝早くから仕事があると言っていた。時刻は8時を回っているし、すでに家を出ているだろう。 実家暮らしのセックスは、何かと気を使うのだ。いつもうまいことタイミングを見計らい、バレないように注意を払っているが、今ならいっさい遠慮はいらない。 操は甲洋のシャツを軽くめくって、ウエスト部分に手をかけた。少し下にズラしただけで、立派に勃起した男性器が弾むように姿を現す。 元気に脈打つそれを見て、思わずこくんと喉を鳴らした。ふわふわのにゃんたまは可愛いだけだが、今の甲洋のにゃんたまは生々しくてとにかく卑猥だ。 ふわりと立ち込める性の香りに、腹の奥がキュンとうずいてくる。 「おっきくなったおちんちん、朝から見るの初めてだ。こんなのがいつもぼくのお尻に挿ってるなんて、なんか凄いや」 操は右手を肉棒の根元に添え、左手で髪を耳にかけながら顔を近づけた。躊躇いなく先端にキスをすると、甲洋が小さくうめいて腰を揺らす。それに合わせてピクピクと性器が跳ねて、先端から先走りを滲ませる。キスをするたび、どんどん硬さが増して反り返っていくようだった。 (甲洋のにゃんたま、やっぱり可愛い……) 高揚する気持ちと一緒に、愛おしさが膨らんでいく。ぜんぜん可愛くない形をしているはずなのに、どうしてこんなに可愛いんだろう。 両手を竿に添えると、操は「いただきます」と言って膨らんだ先端をぱっくりと口に咥え込んだ。 * 「……ッ、え!?」 意識が覚醒した途端、甲洋は頭が真っ白になるのを感じた。 ギシギシとベッドが軋む音。なぜか剥き出しになっている下半身と、それにまたがって腰を振る操の姿。彼もまたシャツだけの姿で、下には何もまとっていない。 「あぁッ、ん……っ、あ、こよ、アッアッ、おき、たぁ……?」 「く、くる……来主、ッ、な、なに? なにして……?」 「なにってぇ、んあぁっ、ぁっ、……責任、とってるのぉ……」 「はぁ!?」 甲洋の腹に手をついて、操が激しく上下に腰を振りたくっている。結合部から響く水音が、朝の室内にあまりにも不釣り合いなBGMになっていた。 (なんだこれ……一体どうなってるんだ……!?) 夢の続きでも見ているのだろうか。いや、それにしては飛躍しすぎている。今の今まで甲洋が見ていた夢は、過去に実際に起こった出来事を再現したものだった。 執拗ににゃんたまを狙う操と、必死で逃げ惑う自分。もう駄目だと思った矢先、目が覚めて助かったと思ったらこの有様だ。混乱しない方がおかしい。 「くっ、来主! 待って、まっ、うァッ……!」 操がバツンと腰を落とすと、熱く濡れた肉壁に性器がキツく締めつけられる。脳天まで響くような快感に、甲洋は目を白黒させながらも歯を食いしばった。起き抜けにこの刺激はいささか強すぎる。 「こよっ、勃起しちゃったの……っ、ぼくのッ、あっ、せい、だからぁ……んッ、ぼくがっ、なんとかしてあげないと……っ、ぁッ……奥、奥あたる……ッ!」 すっかり蕩けたようになっている操が、全体重をかけて深くまで甲洋を飲み込んだ。そのまま腹の奥をゴリゴリと刺激するように、腰を前後に揺すりはじめる。細い腰が柔軟に蠢くさまは、目を剥くほどに卑猥な光景だった。 できればもう少し詳しく状況を説明してほしいところだが、ここはいったん彼の好きにさせるしかなさそうだ。というより、甲洋自身も荒波のような快感に飲まれて、それどころではなくなっている。 「こよ、は……っ、寝てて、いいからねっ……、ぼくが、全部、するから……!」 「あっ、ぅ……ッ、くる、す……!」 「はぁっ、ぁん、ぁ……ッ、きもち、ぃ……ッ、こよのにゃんたま、ビクビクしてて、あっついの……ッ、これ好きっ、好きなのぉ……っ」 彼が好き勝手に腰を揺するたび、濃桃に色づく性器もぷるぷると跳ねて蜜を撒き散らす。薄い胸では膨らんだ二つの粒が、Tシャツの薄い生地を押し上げて存在を主張していた。 こんなものを見せつけられて、ただ寝ているなんて無理な話だ。苛立ちにも似たチリチリとした激情に、甲洋はほとんど無意識のうちに舌打ちしていた。 「来主……ッ!」 「ッ、え? あっ、だ、ダメ! ひぃっ、あッ、あぁぁ……ッ!」 浅くくびれた細腰を両手でガッチリ掴み上げると、甲洋は大きく腰を突き上げた。自由奔放に快感を貪っていた操が、目をひん剥いて悲鳴をあげる。 「やだやだッ、あっ、アッ……! ぼくがするのぉっ! 甲洋のにゃんたま、いい子いい子してあげるんだぁっ!」 「逆に来主は悪い子だね。寝込みを襲うなんて、さっ」 「ゃ、ぅあぁ……ッ!? アッ、ぁ、あぁ──……ッ!!」 両膝をゆるく立てると、ベッドのスプリングの力も借りてさらに激しく突き上げた。すると甲洋の上で弓なりに背を反らした操が、ビクビクッと大きく身を震わせて射精する。 甲洋をイカせるまではと、おそらくずっと我慢していたのだろう。自分で動きたがったのも、快感をコントロールするためだったのだ。しかし強制的に絶頂させられた彼は、途方に暮れたように口をぽっかり開けて痙攣している。 「ぁー、……ッ、ぁ、あぁ、ァ……」 力尽きて後ろへ倒れていこうとする身体を、腕を掴んで引き寄せる。くったりと胸に落ちてきた操は、肩で息をしながらグスンと鼻をすすった。 「ぅ……ダメなのに、イッちゃった……」 「ダメじゃないから」 思わず苦笑して、腕の中の身体を抱きしめると頭を撫でる。ほんのり汗ばんだ髪に頬ずりをして、コロコロと小さく喉を鳴らした。 やがて息が整ってきた操が、わずかに伸び上がって甲洋の鼻先にキスをする。 「甲洋、まだイッてないでしょ。ぼく、まだがんばれるよ」 「そう?」 「うん! ちゃんと責任とるからね!」 「責任って、なんの?」 確かさっきも、甲洋が勃起したのはぼくのせいだ、とかなんとか言っていたような。自分が眠っているあいだに、一体なにが起こっていたというのだろうか。 「それはね──」 操から簡単に経緯を聞いて、甲洋はようやく納得することができた。過去の夢を見たのも、彼に股間を刺激されたことで記憶を掘り起こされたからだったのかもしれない。 「あのときはごめんね甲洋。ぼく、どうしてもにゃんたまぷりぷりしたくって……怖がらせちゃったよね……」 「いや、まぁ……うん。怖かったというか、なんというか……」 まだ正体を明かす前だったが、あの頃すでに甲洋は操に恋をしていた。好きな子に大事な場所を触られたら、どうなってしまうかなんて分かりきっている。 にゃんたまは確かに愛らしい形状をしているかもしれないが、刺激されると出てきてしまうのだ。エグめの本体が、ニョキニョキと。そんな痴態を見せてなるものかと、あのときの甲洋は必死だった。 しかしその出来事があったからこそ、この衝撃的な朝があるのだと思うと感慨深い。おかげでいい思い出として昇華できそうだ。 「俺は気にしてないから。責任なんて感じなくていいよ」 「でもさ、今のこれは……やっぱりぼくのせいじゃない?」 「あッ、ちょ……っ!」 イタズラっ子のように笑った操が、きゅうっと尻に力を込めて締めつけてきた。電流のような快感が、尖った耳から長いしっぽの先まで駆け抜ける。ただでさえ達する手前で打ち止められていたのだ。涼しい顔をして装っていたが、実はまったくもって余裕がない。甲洋はお手上げだとばかりに大きく息を漏らした。 「じゃあ、遠慮なくお願いしようかな」 「えへへー、任せてよ!」 確かに、この責任はしっかり取ってもらう必要がありそうだ。猫としての生き方を捨ててしまうくらい、夢中にさせてくれたのだから。 「好きだよ、来主」 蕩けたように目を細め、鼻と鼻をコツンと合わせる。 操はもともと赤かった頬をいっそう赤らめると、砂糖を溶かしたように甘ったるい笑みを浮かべて、「ぼくも!」と言った。 にゃんたまωチャレンジ / 了 ←戻る ・ Wavebox👏
(鈴カステラみたいだなぁ……)
くてん、と横倒しで寝転がるコーヒーのお尻を見て、操は鈴のようにコロコロとした焼き菓子を思い浮かべていた。ふっくらしていて齧ると弾力があり、ほろりと口の中で優しくほどける、まぁるいカステラ。
それと瓜二つのものが、コーヒーの股にぷくっと生息している。まんまるのフォルムとふわふわの被毛に覆われた球体、猫のふぐり──通称『にゃんたま』だ。
(コーヒーのにゃんたま、触ってぷにぷにしたいなぁ……)
食べちゃいたいくらい可愛いとは、まさにこのことだ。思わずうっとりとした息が漏れるほど、オス猫のふぐりは猫好きの心を魅了する。
しかし調子に乗って触りすぎると、角のようなナニかがニョキッと「こんにちは」する場合がある──あるいはめちゃくちゃ怒られる──ため、取り扱いには注意が必要だ。あくまでも性器であるということを忘れてはいけない。
(でも、ちょっとツンツンするくらいなら許されるよね)
にゃんたまの誘惑に抗えなくなった操は、コーヒーに向かって四つん這いでにじり寄った。いつものように窓枠を引っ掻いて遊びに来た彼は、おやつを食べたあと満足して寝そべっている。
操は土下座するように体勢を低くして、至近距離から彼のふぐりをじっくり眺めた。身体は長毛に覆われているが、まん丸のそれは短い毛に包まれている。まるでヒヨコの産毛のようだ。
(わあぁ、可愛い! こんなの我慢できないよ……!)
たまらない気持ちになりながら、右手の人差し指をそっとふぐりに近づけた。しかし今にも触れようとしたところで、コーヒーが顔をあげて背後を振り向く。危険を察知したのだろうか。操はその警戒を解くようにニッコリ笑いかけると、軽くふぐりをつっついた。丸々とした球体が、はずみでぷりんっと揺れ動く。
「ッ!?」
「ふわあぁ思った通りぷりぷりだぁー! 可愛いー!!」
「フ、フギャーッ!!」
さらにつっつこうとした矢先、悲鳴をあげたコーヒーが飛び上がって逃げだした。彼が走ると、にゃんたまも一緒にぽよぽよ跳ねる。逃がすものかと、操はすかさず四つん這いのまま追いかけた。
「待ってコーヒー! お願いだから、にゃんたまもっとぷりぷりさせて!」
「いにゃぁーっ!」
まるで「いや!」と叫んでいるかのようだ。しかしすぐに部屋の隅に追いつめられたコーヒーは、しっぽを内側に丸めながらプルプルと身を震わせた。耳もペタリと寝てしまっている。もし彼が人間だったなら、今ごろ青ざめて引きつった表情をしているに違いない。
「はぁ、はぁ……いい子だねコーヒー……ほら、にゃんたまもいい子いい子してあげるから……」
操は取り憑かれたように息を荒げ、よだれを垂らしそうなほど恍惚とした表情で両手をわきわきと蠢かせる。どこからどう見ても不審者にしか見えない。これがにゃんたまに狂わされた人間の末路だ。
見開かれたビー玉のような瞳が、恐怖と絶望に見開かれている。
「にゃッ、にゃヒィィィ……ッ!!」
学生寮の一室に、コーヒーの悲痛な叫びが響き渡った──
……。
…………。
「ふふっ、うふふ……ぷりぷりだぁ……あったかぁい……」
温かな感触に頬ずりをして、右手でそこにあるものを揉みしだく。強く握りすぎないように、優しくゆっくり慎重に。するとにゃんたまは操の手のなかで熱を持ち、どんどん育って手に余るほど大きくなった。
「コーヒーのにゃんたまは立派だね……なんか、人間のおちんちんみた……い……? んぁ……?」
違和感を覚え、閉じていた目をぱっちり見開く。幾度かまばたきをしたあと、操は自分が夢を見ていたことに気がついた。
「あれぇ? なぁんだ、夢かぁ」
ここは学生寮ではなく、実家の自室にあるベッドの上だ。カーテン越しにうっすらと朝の光が差し込み、遠くから鳥のさえずりが聞こえてくる。
あと少しでふわふわのにゃんたまを堪能できたはずなのに──と残念な気持ちになったが、操は夢の続きを知っている。なにせあれは、過去に実際あった出来事なのだ。あのあと激しく抵抗されて、結局は逃げられてしまったのだった。
「懐かしいなぁ。あの頃は甲洋のこと、普通の猫だと思ってたっけ」
まだほんの数ヶ月前の出来事だが、ずいぶん昔のことのように感じる。現在の甲洋は猫の姿に戻れなくなってしまったため、二度と可愛いにゃんたまを拝むことはできない。最後に思いっきりツンツンしてみたかった、という叶わぬ願いが、夢となって現れたのだろうか。
はぁ、とため息をつきながら、操は右手で触れているものをモミモミする。
「今じゃこんなだもんな。これもこれで好きだけど……ん?」
そういえばさっきから自分が触っているこれは、一体なんだろう。やたらと熱くて、肉感的で、不思議とよく手に馴染む。疑問に思いながらもさらにモミモミすると、頭上から「うーん……」という苦しげなうめき声が聞こえてきた。
「……え?」
そこでようやく、自分が今どんな体勢でいるかに気がついた。横向きで身体を丸めているが、問題はそのポジションだ。操は仰向けで寝ている甲洋の股間に頬を擦りつけ、右手で思いっきりブツに触れていた。
そりゃあよく手に馴染むはずだ。操はこれにしょっちゅう触れているし、大きさは違えど、自分だって同じものを持っているのだから。
「わっ、ごめん甲洋!」
うーんうーんと苦しそうに唸っている甲洋の上から、操は慌てて半身を起こした。にゃんたまを求めるあまり、寝ながらにして寝込みを襲う状態になっていたらしい。スウェットの上からではあるものの、頬ずりしたりモミモミしたり、ずいぶん刺激してしまったようだ。
しかし彼はよほど深く眠っているのか、目を覚ます気配がない。だが中心はテントが張ったようになっており、心なしかその表情は苦しげだ。
(わぁ、すっかり元気になっちゃってる。これってぼくのせいだよね……?)
操は右手の人差し指で、ツンっと盛り上がるテントをつついてみた。すると甲洋がピクンと震え、「んっ」とかすかに声をあげる。さすがに起きるかと思ったが、彼は深く息を漏らしただけで眠ったままだ。
しかし何か夢でも見ているのか、長いしっぽがパタンパタンとシーツを叩いている。そしてむにゃむにゃと口を動かしはじめた。
「ダメだ、来主……そこは触っちゃ、ダメなんだ……」
「え?」
「にゃんたまは……オモチャじゃ、ない……」
「!」
そこでピンと来てしまった。もしや彼も、同じ夢を見ているのではないかと。
夢の中の甲洋は、迫りくる魔の手から必死で逃げ惑っているのだろう。自分で言うのも何だが、あのときの操はにゃんたまに狂った変質者も同然だった。
彼はしきりに「やめて」とか「頼むから」などと口走り、うんうん唸っている。額に汗も滲んでいるし、これではさすがに気の毒だ。
「ごめんね甲洋。ぼくのせいで……それにこっちも……」
股間の膨らみも相変わらずで、元気に布を押し上げている。こっちもこっちでかなり苦しそうだ。軽く触れてさすってやると、「うぅ」というくぐもった声が聞こえてくる。
「大変だ。ちゃんと責任とらないと。待ってて甲洋、いま楽にしてあげるから!」
確か母は朝早くから仕事があると言っていた。時刻は8時を回っているし、すでに家を出ているだろう。
実家暮らしのセックスは、何かと気を使うのだ。いつもうまいことタイミングを見計らい、バレないように注意を払っているが、今ならいっさい遠慮はいらない。
操は甲洋のシャツを軽くめくって、ウエスト部分に手をかけた。少し下にズラしただけで、立派に勃起した男性器が弾むように姿を現す。
元気に脈打つそれを見て、思わずこくんと喉を鳴らした。ふわふわのにゃんたまは可愛いだけだが、今の甲洋のにゃんたまは生々しくてとにかく卑猥だ。
ふわりと立ち込める性の香りに、腹の奥がキュンとうずいてくる。
「おっきくなったおちんちん、朝から見るの初めてだ。こんなのがいつもぼくのお尻に挿ってるなんて、なんか凄いや」
操は右手を肉棒の根元に添え、左手で髪を耳にかけながら顔を近づけた。躊躇いなく先端にキスをすると、甲洋が小さくうめいて腰を揺らす。それに合わせてピクピクと性器が跳ねて、先端から先走りを滲ませる。キスをするたび、どんどん硬さが増して反り返っていくようだった。
(甲洋のにゃんたま、やっぱり可愛い……)
高揚する気持ちと一緒に、愛おしさが膨らんでいく。ぜんぜん可愛くない形をしているはずなのに、どうしてこんなに可愛いんだろう。
両手を竿に添えると、操は「いただきます」と言って膨らんだ先端をぱっくりと口に咥え込んだ。
*
「……ッ、え!?」
意識が覚醒した途端、甲洋は頭が真っ白になるのを感じた。
ギシギシとベッドが軋む音。なぜか剥き出しになっている下半身と、それにまたがって腰を振る操の姿。彼もまたシャツだけの姿で、下には何もまとっていない。
「あぁッ、ん……っ、あ、こよ、アッアッ、おき、たぁ……?」
「く、くる……来主、ッ、な、なに? なにして……?」
「なにってぇ、んあぁっ、ぁっ、……責任、とってるのぉ……」
「はぁ!?」
甲洋の腹に手をついて、操が激しく上下に腰を振りたくっている。結合部から響く水音が、朝の室内にあまりにも不釣り合いなBGMになっていた。
(なんだこれ……一体どうなってるんだ……!?)
夢の続きでも見ているのだろうか。いや、それにしては飛躍しすぎている。今の今まで甲洋が見ていた夢は、過去に実際に起こった出来事を再現したものだった。
執拗ににゃんたまを狙う操と、必死で逃げ惑う自分。もう駄目だと思った矢先、目が覚めて助かったと思ったらこの有様だ。混乱しない方がおかしい。
「くっ、来主! 待って、まっ、うァッ……!」
操がバツンと腰を落とすと、熱く濡れた肉壁に性器がキツく締めつけられる。脳天まで響くような快感に、甲洋は目を白黒させながらも歯を食いしばった。起き抜けにこの刺激はいささか強すぎる。
「こよっ、勃起しちゃったの……っ、ぼくのッ、あっ、せい、だからぁ……んッ、ぼくがっ、なんとかしてあげないと……っ、ぁッ……奥、奥あたる……ッ!」
すっかり蕩けたようになっている操が、全体重をかけて深くまで甲洋を飲み込んだ。そのまま腹の奥をゴリゴリと刺激するように、腰を前後に揺すりはじめる。細い腰が柔軟に蠢くさまは、目を剥くほどに卑猥な光景だった。
できればもう少し詳しく状況を説明してほしいところだが、ここはいったん彼の好きにさせるしかなさそうだ。というより、甲洋自身も荒波のような快感に飲まれて、それどころではなくなっている。
「こよ、は……っ、寝てて、いいからねっ……、ぼくが、全部、するから……!」
「あっ、ぅ……ッ、くる、す……!」
「はぁっ、ぁん、ぁ……ッ、きもち、ぃ……ッ、こよのにゃんたま、ビクビクしてて、あっついの……ッ、これ好きっ、好きなのぉ……っ」
彼が好き勝手に腰を揺するたび、濃桃に色づく性器もぷるぷると跳ねて蜜を撒き散らす。薄い胸では膨らんだ二つの粒が、Tシャツの薄い生地を押し上げて存在を主張していた。
こんなものを見せつけられて、ただ寝ているなんて無理な話だ。苛立ちにも似たチリチリとした激情に、甲洋はほとんど無意識のうちに舌打ちしていた。
「来主……ッ!」
「ッ、え? あっ、だ、ダメ! ひぃっ、あッ、あぁぁ……ッ!」
浅くくびれた細腰を両手でガッチリ掴み上げると、甲洋は大きく腰を突き上げた。自由奔放に快感を貪っていた操が、目をひん剥いて悲鳴をあげる。
「やだやだッ、あっ、アッ……! ぼくがするのぉっ! 甲洋のにゃんたま、いい子いい子してあげるんだぁっ!」
「逆に来主は悪い子だね。寝込みを襲うなんて、さっ」
「ゃ、ぅあぁ……ッ!? アッ、ぁ、あぁ──……ッ!!」
両膝をゆるく立てると、ベッドのスプリングの力も借りてさらに激しく突き上げた。すると甲洋の上で弓なりに背を反らした操が、ビクビクッと大きく身を震わせて射精する。
甲洋をイカせるまではと、おそらくずっと我慢していたのだろう。自分で動きたがったのも、快感をコントロールするためだったのだ。しかし強制的に絶頂させられた彼は、途方に暮れたように口をぽっかり開けて痙攣している。
「ぁー、……ッ、ぁ、あぁ、ァ……」
力尽きて後ろへ倒れていこうとする身体を、腕を掴んで引き寄せる。くったりと胸に落ちてきた操は、肩で息をしながらグスンと鼻をすすった。
「ぅ……ダメなのに、イッちゃった……」
「ダメじゃないから」
思わず苦笑して、腕の中の身体を抱きしめると頭を撫でる。ほんのり汗ばんだ髪に頬ずりをして、コロコロと小さく喉を鳴らした。
やがて息が整ってきた操が、わずかに伸び上がって甲洋の鼻先にキスをする。
「甲洋、まだイッてないでしょ。ぼく、まだがんばれるよ」
「そう?」
「うん! ちゃんと責任とるからね!」
「責任って、なんの?」
確かさっきも、甲洋が勃起したのはぼくのせいだ、とかなんとか言っていたような。自分が眠っているあいだに、一体なにが起こっていたというのだろうか。
「それはね──」
操から簡単に経緯を聞いて、甲洋はようやく納得することができた。過去の夢を見たのも、彼に股間を刺激されたことで記憶を掘り起こされたからだったのかもしれない。
「あのときはごめんね甲洋。ぼく、どうしてもにゃんたまぷりぷりしたくって……怖がらせちゃったよね……」
「いや、まぁ……うん。怖かったというか、なんというか……」
まだ正体を明かす前だったが、あの頃すでに甲洋は操に恋をしていた。好きな子に大事な場所を触られたら、どうなってしまうかなんて分かりきっている。
にゃんたまは確かに愛らしい形状をしているかもしれないが、刺激されると出てきてしまうのだ。エグめの本体が、ニョキニョキと。そんな痴態を見せてなるものかと、あのときの甲洋は必死だった。
しかしその出来事があったからこそ、この衝撃的な朝があるのだと思うと感慨深い。おかげでいい思い出として昇華できそうだ。
「俺は気にしてないから。責任なんて感じなくていいよ」
「でもさ、今のこれは……やっぱりぼくのせいじゃない?」
「あッ、ちょ……っ!」
イタズラっ子のように笑った操が、きゅうっと尻に力を込めて締めつけてきた。電流のような快感が、尖った耳から長いしっぽの先まで駆け抜ける。ただでさえ達する手前で打ち止められていたのだ。涼しい顔をして装っていたが、実はまったくもって余裕がない。甲洋はお手上げだとばかりに大きく息を漏らした。
「じゃあ、遠慮なくお願いしようかな」
「えへへー、任せてよ!」
確かに、この責任はしっかり取ってもらう必要がありそうだ。猫としての生き方を捨ててしまうくらい、夢中にさせてくれたのだから。
「好きだよ、来主」
蕩けたように目を細め、鼻と鼻をコツンと合わせる。
操はもともと赤かった頬をいっそう赤らめると、砂糖を溶かしたように甘ったるい笑みを浮かべて、「ぼくも!」と言った。
にゃんたまωチャレンジ / 了
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